犬の報告書 7/5

2021年7月5日 黒い犬 稽古

赤星、笠井、岸本、坂口、澤田、サカイ、若旦那

於・ウイングフィールド

(岸本筆)

●「セリフを覚えて立ち稽古を経た上演」か「リーディングに準じた上演」について

 

■岸本

(前回ミーティングの保留箇所の返答として、MTで実際に話した内容と、slackのログを合わせた内容)

「リーディングに準じた上演」のほうが良いと思う。7月30日・8月1日の発表をよりよいものにするためにはどうしたらよいか。

残り5回の稽古で、テキストの一つ一つの言葉や行間やト書き、くるみざわさんが書いた言葉がなんなのか、このの台本が、しいては感染症がなんなのかを声に出してじっくり読み進めることが残された時間の中で、今回の発表に誠実に向き合える気がした。セリフを覚えてそれを発声することで初めて気づけることは、もちろんあるが、発表までにセリフを覚えて、大急ぎで準備を進めるのはきっとお祭りのような状態で、「覚えたセリフを必死に思い出しながらのぐらぐらした状態」で上演に臨むことになると思う。それも一つのやり方だが、ぐらぐらした状態ではダイアログの相手役の状態や、空間の状態(ビルの中の劇場であること、大阪の繁華街であること、そこからひろがる街のこと)、そして自分の状態を顧みることが難しいと感じる。テキストを伝えることに集中すること。台本を音声化させ、俳優と空間を満たし、落ち着いた状態で、お客さんに言葉の向こう側を想像してもらう、黒い犬の誕生を見届けてもらうことが、いまの自分にとって豊かだと思った。

1日にウイングで読み合わせをした時に、窓を開けながら、ト書きも一緒に読んだ。その空間・時間はとても豊かだったと感じました。いろんな言葉・音が聞こえて、物語が進み、ここがどういう場所か、感染症とはなにか、たくさんのことを想像した。あの時感じたことを残り稽古でより積み重ね、どう思ったか感じたかをそれぞれがフィードバックし、メンバーでこのテキストについて話し合う、それが直接発表に結びつく。そして稽古がない時間・メンバーと会っていない時間は日常生活を送りながらコロナ禍における私の状態(体調と体温とそれにまつわるログ)を改めて考えることができる上、上演にまつわるさまざまな準備を進めることを落ち着いて進めることができる。そういう状態・発表を目指したいと思った。

また、「上演に向けてのログを公開すること・脆弱な状態で奇跡の結実を信じて公演に挑むこと」と「リーディングに準じた上演」はリンクすることは、僕はできるんじゃないかなと思っている。

3日の議論が、「セリフを覚えて立ち稽古を経た上演」にむけて進んでいた中、僕の意見は、別方向の意見になるので、なかば反旗をあげてしまうようで申し訳ないのですが、とてもとても悩んだのですがこれが、今の僕の正直な位置です。

また、それぞれみなさんが、演技ってなんなのか、「上演行為」をどう捉えてどう考えているのか、に興味があります、黒い犬の黎明として、稽古場内でそのあたりのみなさんの考えを知ることができたら嬉しいとも思っています。

(上記は、MTで実際に話した内容と、slackのログを合わせた内容)

 

 

■笠井

・岸本の意見を踏まえてテキレジをした。台本を耳で聞いてわかる状態に変更した

・slackでの意見交換で出ていた「中止になりにく形態」になることを期待します。

・今作は「チャットがテキストを書く」という物語になっている。その点に注目して、「チャットが書いた物語」を犬の調査隊がなんらかの形で発見し、それを伝聞する上演として位置づける。上演に続いて戯曲販売にもストーリーをつなげることができると思った。

 

■坂口

・「リーディングに準じた上演」について異論ありません。しかし、個人的にセリフを覚えたところから稽古だと思っているので、あえて「リーディングに準じた上演」をするのであれば、その目的をしっかりと持って臨みたい。それは、文体の良さを味わってもらうためや、戯曲の紹介のため、いろいろ設定することができる。どこに行き着くのかを共有したい。

・前回のMTでも出た「上演できるかどうかわからない脆弱な状態」というのは、「リーディング上演」になるなら、かけてるリスクが少ないように思うので、あまり必要性を感じない。

・チケット代を下げるべき。(現状想定3000円)

・8月1日以降、次いつ集まれるのかの議論をしたい。「戯曲使って上演をする」という告知がないと次に繋がっていかないと思う。

・会話をしてしまうと半立ち稽古みたいになってしまうので、それは避けたい。声の方向性・どこに向けて音声を投げるのか、検討したい。

 

■笠井

・私は「弱々しいわたしたち」というコンセプトは両立できそうだと思う。

・リーディング公演を黒い犬の「第0回公演」として次の「第一回公演」につなげる。

・「お父さんのバックドロップ」(坂口さんか展開しているリーディング上演の企画)みたいにできたらいい。「読んでいる」という行為が作品と結びつきひとつの構造が完結している形態。

・テキレジした台本を読んで検証するのもいいと思っている

・具体的な案として/美術や小道具のしつらえは「本だけ」/タイブロイド紙のようなものを回し読みする/壁に貼っている読み物を読んだりする/テキストに書いていない部分を即興的にやることもあることもある/など

 

■赤星

・このままいくとお祭りみたいになって終わるのは確かと思う。物語の深みを味わうには「リーディング公演」は妥当だと思う。

・反面、リーディングをあまりやったことがなく、得意ではない。

・「脆弱パターン」は無しで公開がいい

→■笠井 「受胎パターン」ですね。8月1日以降(来年?)の公演に向けての一つの交尾を行う。一年後、作品が「第一回公演」がこの世に誕生する

 

■澤田

・スパンとして三年ある。その期間色々できればいいと思っていたので、今回「リーディング上演」であったとしても問題ない。いかなる形式でもいいなと思っている。

・意図と演出がはっきりしていれば、リーディング公演はできる。

・稽古では「普通の上演」とのズレ、世間とのズレ、社会とのズレ、そういうことを話してゆきたいと思っている。

・リーディング上演の際に、発声していない時の状態はいつも気になるので、そこは気になる。

・「脆弱パターン」はコンセプトは面白いと思っていたけど、お客さんの立場からすると特にチケット周りはただの手間にしかならないのでは?と思うこともある。

 

■若旦那

・きっちり間に合わす、という視点ではリーディグの方がいいのでは。

・リーディングが軽々しく見えるのは、お客さんの側もリーディング公演舐めてみている、という感覚もある。「戯曲をきっちり伝える」というきちんとコンセプトきちんと出せばいいという。

・かなりきっちりと演出をつけた上演した方がいい。

・表現者工房のリーディング企画のオファーを笠井さんが断っているという印象があるのですが、「リーディング」という形態に、笠井さんは違和感がありますか?

→■笠井 単純に予定が合わないから断っていただで、リーディングが嫌いとかそういう意味ではないです。しかしながらリーディング=朗読というのはとても技術のいることだと思っているので、表現者工房の打ち出している「市民参加型」であるならば

リーディングよりお芝居にした方がいいですよ。という提言はしている。

 

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実際に、テキレジの台本を読んでみる

配役通りで。

ト書き中の「M、T、C、B、R」はそれぞれ

マスター、スリル、チャット、つち、テン に置き換えて発語。

ト書きは、俳優の中で読める人が読む。

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昼休憩

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●読み合わせの感想・意見

 

■笠井

・読み合わせを聞いて今後、テキレジを進めたいと思います。

・「チャットの書いた本を読む」というのであれば、それは1冊、1枚であったほうがいい。

・ブレヒトの教育劇のようにもできる。レジュメをお客さんに配布し参加してもらう(コロナ禍でそれができるのかは別問題として)

 

■坂口

・シーン1のお茶の話は最後のシーンにもでてくるのでカット可否の検討、お酒が通貨であるという話がくるみざわさんからあったのでお酒の話題についてのカット可否の検討)

 

■澤田

・ぶっ続け90分じゃなくてもいいかなーと思ってる。MCが入ってもいい?

・メンバーそれぞれ文脈・演じ方が違いがあって、それぞれに良さがあるので、あえてそれを統一しなくてもいいと思う。

・役柄の席があって、そこに座った人がその役を演じたりすることも可能かなと思った。

・配役変えるのもありかな、と思った。(例えば、テンなどは他の四人とは所属や方向性がちがうので、その役を演じる人だけトリッキーに大声をあげたりする。)最終的な上演では現在の配役でいいと思っているが、他の役を声に出して読んでみるのもあると思った。

・体重が乗っているシーン(長く喋ったり、スピード感があるシーン)では、ト書きを省いたり、付け足したりしてもいい。

 

■坂口

・自分でリーディングする時に、目線を外したりすることで、「手持ちの台本がなくてもいいやん」という感想になる

・台本が投射されるサングラスや、客席の後ろに巨大なプロンプターがある、など

・美術に全部セリフが書いてある、音声を耳から聞こえてくる、というシステムがある。

・紙で読むときは、「あ〜あとこんだけ残りがあるな〜」とか思ってしまう。

 

■若旦那

・真っ暗中でちっちゃいライトを持ってきて、こそこそ読んでる。

・チャットが物語を書いて託したシーンを一辺だけ上演する。

・リーディングはどうしても弱みに思えてしまうので、それを跳ね返すアイデアなり演出なりが必要。

・面白いリーディングってどういものがありましたか?

→「お父さんのバックドロップ」教科書、授業するために先生がそれを読んでいる。

→「駆け込み訴」テキストを読む。

→「夢十夜」野外、雨が降っているのでテキスト読めない。覚えてやってた。途中の幕を映像で投射したり。

 

■岸本

・ト書きを読むというのは、音声で空間を広げていく感覚がするのでとても面白い。演じ手の想像力がとても広がるし、みている人の想像力も感化されると思う。

・ト書きのテンションを、他のセリフと揃えるのか、揃えないのか。それによってシーンのリズムにノックをかけたり、あるいは加速できたりすると思う。

・同じト書きがリフレインされるとき、同じリズム抑揚で読むことで、意味の重ね掛けができる。

 

■サカイ

・赤星さんが「ウイングフィールドでやりたい」というのはヒントになっている。ビルの中だし、ある種のドキュメンタリーがある。階段を登って劇場に入り、この場所を感じる。俳優がそこに点在して、戯曲を読む。こちらが設定した演出があってもいいし、その場所を楽しんでもらうという余裕があってもいい。

・「持っているテキスト」がフィクションと現実を隔てている壁だと思っている。

その壁を突破する瞬間が面白いと思っている。「読んでいる」という状態から漏れでるフィクションの面白さ、それを作っていきたい。

 

■赤星

・場所が持っている雰囲気、雑多な感じが、ちょうど「犬のペスト」の全体と似ている、ではなくて、もっとサイトスペシフィックなものとして上演してはどうか。

・ドキュメンタリーのようなしつらえは面白いと思う。極力を登場人物の雰囲気を出力せずに(内容を届けるために)平坦にしていくという方向性もある。

・同じト書きがリフレインされるとき、リアルタイム録音を使っても面白いし。

→笠井 もし窓を開けたりするのであれば、外の音が大きいので、もうすこし声がきちんと聞こえたいと思う。

 

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読み合わせをして、俳優の中で何が起こっていたか?

 

■坂口

・リーディングだと発声の宛先がバラバラになってしまうことがある。しばらく稽古をしてみてその中でどの方向性が面白いのかをジャッジする人が必要。

・一人でも読んでもいいのかな、と思う反面、やはり戯曲なのでダイアログが必要。

・淡々とした読み方だと「感染による恐怖」が積み上がっていく感じがしなかった。ト書きを増やしたりしてもいいのかなと思った。

・セリフの部分はそんなに工夫がいらないと思った。

 

■若旦那

・ト書きの取り合いがスリリング。

・最初のト書きは坂口さんが読んで、それに合わせた方がよいと思っていたが、進めていくうち、みんながバラバラの読み方で進めたので、そのあたりをドライブするのは楽しかった。

 

■岸本

・読み方も、声も、バラバラなのが面白かった。色々試してみて、この場所にふさわしやりかたを探っていきたい。

・自分の配役にまつわるト書きを自分で読むのが良かった。自らを名乗り、言葉で場所に立脚させていく感覚。リーディングの良い点。

・細かいやり取りの際は、違う人(声)がト書きで割り込んでくることによって、イメージが分断され「これは演じられているフィクションである」ということが如実になる点がいい。

・長いセリフのときは、言葉のイントネーションやリズムを変化させて、言葉を脱臼させることで、本来の意味と違ったふうに聞こえたり、意味を拡張したりすることができる。

 

■澤田

・登場人物としてではなく、俳優澤田誠として読んでみた。

・語りとしてのト書きはとても重要だと思った。坂口さんのト書き読みがとても良かった。

・犬の精神構造というか、セリフから読み方を探れるものがあんまりなくて「普通の上演」になった段階に、役作りに工夫がいると思った。た。

 

■赤星

・役にならないでおこう、言葉の方向だけ決めて、抑揚と盛り上がりを作らないで読んだ方がいいのかなと思って実践した。役柄・感情をいれてみることはいつでもできるので、言葉の「痛々しさ」「衝撃」はお客さんに想像してもらった方がいいと感じた。

→岸本 「痛々しさ」「衝撃」を精密に伝えるには、ある程度音声がクリアに聞こえる必要があるなと思った。ウイングは厳密なブラックボックスでなくて、ビルの中にあって、猥雑な雰囲気、壁も天井もデコボコして視覚的なノイズも多いので、それに即した表現が必要と思った。つまり稽古で色々試して、この場所に合う表現・合わな表限を精査する必要がありそう。

→坂口 音声の効果を狙って、棒読みにした部分もあったが、後半のスピード感のあるシーンでは盛り上がっているほうがいいのかもと思って、読み方が混在してしまった。今後いろいろ試したい。ある程度シンプルな構造でもいいと思う。

 

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■笠井

今日の読み合わせ踏まえ、台本データを更新します。